CASES

経営資源の選択と集中を支える、ブランド哲学の言語化。福井・鯖江の老舗眼鏡メーカーのリブランド支援

aeru gallery

aeru re-branding

クライアント
株式会社 マコト眼鏡さん
業種
自社ブランド『歩』AYUMI眼鏡製造・販売 ブランドバックアップ事業(OEM)眼鏡製造
所在地
福井県鯖江市

OEMを中心に行ってきた、福井・鯖江の老舗メーカー「マコト眼鏡」さんが、オリジナルブランド『歩』AYUMIを確立するための、aeru re-brandingをご一緒させていただいております。

具体的なaeru re-brandingの内容

  • ブランドに込める想いの言語化
  • 販売戦略の策定
  • 商品開発
  • 新たな展示販売の実施
  • ワークショップの実施

マコト眼鏡さんからは、“aeru re-branding”の成果について、下記の感想をいただいております。

  1. ブランドがどのような歴史を積み上げてきたのか、共に振り返り言語化することで、今後のブランド経営の方針を定めることができた。
  2. 一般的なコンサルティングとは異なり、改定案を提示されるだけではなく、自分たちの信念に基づいてどのように自らが判断するべきか、自分たち自身がブランドの指針を、都度考える習慣がついた。ブランディングの判断に迷いがなくなり、経営体質の改善につながった。
  3. 根拠を持った経営判断が行えるようになったため、売上1.27倍、取り扱い店舗が1.33倍に増え、展示会経費を75%削減し、1/4に抑えられるようになった。

“aeru re-branding”とは

和えるでは、伝統を次世代につなぐため、長年続いた事業の本質を探しだし、磨き上げることで、会社やブランドが長く歩み続けられるお手伝いをさせていただく “aeru re-branding” 事業を展開しております。

本記事では、マコト眼鏡さんが、“aeru re-branding”をご依頼くださった背景・具体的な取り組みについて、ご説明いたします。

「マコト眼鏡」さんオリジナルブランド『歩』AYUMI


福井県鯖江市の「株式会社マコト眼鏡」代表取締役 増永昇司さんは、福井県に眼鏡の製造技術を伝えた眼鏡産地の始祖、増永五左衛門のひ孫にあたります。
増永五左衛門は、「貧しい農村の人々が仕事を持てるように」と明治時代(1905年)に眼鏡づくりをはじめました。増永昇司さんは五左衛門の誠実さを引き継ぎ、事業を展開されています。

そして、『歩』AYUMIは、2000年に誕生したマコト眼鏡さんのオリジナルブランド。
「心地良い眼鏡を、長く使い続けたい」というお客様の想いに応える眼鏡です。

“aeru re-branding”では、『歩』AYUMIブランドの一貫性を追求

自社ブランド『歩』AYUMIの15周年を迎えた際、マコト眼鏡さんには、自社ブランドのあり方は、このままで良いのだろうかという漠然とした不安がありました。

OEMが当たり前の時代、眼鏡製造会社が自社ブランドを持ってることは先進的な取り組みでした。しかし、様々な取り組みに挑戦してきたなかで、ブランドの一貫性が薄れてしまい、ブランド経営の方向性について、迷いが生じていらしたそうです。このタイミングで、マコト眼鏡さんの “aeru re-branding”が始まりました。

1.ブランドへの想いの言語化

まずは、マコト眼鏡さんのブランドの軸となる哲学を言語化するお手伝いをさせていただきました。

マコト眼鏡さんの『歩』AYUMIの15年間を振り返り、対話を重ねることで、経営に関する判断軸や、ブランドの根幹となる大切な言葉が少しずつ現れはじめます。

家族経営のため、言葉にせずとも伝わると考えていた部分を、いざ言語化してみると、これまで言葉に出来ていなかった部分に大切なブランド哲学が隠れていたことが見えてきたのです。

ブランド哲学を言語化することで、限りある経営資源を選択し、集中させることが可能となりました。

マコト眼鏡さんが一番大切にされたいブランド哲学は、「眼鏡は毎日使うからこそ、かけやすさにこだわりたい」ということ。

自然由来の「綿花」を溶かしてつくられるセルロイドを100%用いたフレームを、機械と職人の手作業を和えることで、作られています。

とくに、眼鏡の鼻パッドには、職人の想いが強く込められています。

かける人の鼻への当たりの良さを考えながら、手作業で一つひとつヤスリがけをして作り上げているのです。

マコト眼鏡さんの強みは、確かな職人の技術力に基づいた、人の手が加わることで実現する、かけやすい眼鏡を実直に探求されていることだということがセッションで明確になりました。

 

毎日かけていても、疲れない、苦にならない眼鏡を作り続けることこそが、ブランドの哲学で重要であることをセッションで導き出しました。

セッション内では、ブランドとしての哲学を一つずつ整理し、社内で共通認識となるよう言語化しました。その結果、社内で誰もがブランド構築について、意見を出せるようになりました。

実際に、2022年の新型モデルは、最年少の職人さんが中心となってプロジェクトが進められました。ブランドの軸に沿ったアイデア出しや、社内での意見交換がスムーズになり、短時間で製品化されることとなりました。

若手の方々が持つ時代に即したアイデアや、社員一人ひとりが持つ会社への思いは、様々な理由で、埋もれがちになることが多いかもしれません。しかし、あらゆる会社において、アイデアや実行力は宝となります。

ブランドの哲学を言語化することで、その共通認識を通して、ブランドの軸にそったアイデアが育まれやすくなり、生産性の高い循環が生まれることとなりました。

また、社内だけでなく、社外への広報活動の軸が明確になり、眼鏡業界の方々やお客様にも、ブランドに込める想いを明確に伝えられるようになります。

 

2.D2Cを想定した新商品開発

マコト眼鏡さんがこれまで手掛けてこられなかったサングラスの開発も、“aeru re-branding”を通して、生まれた新プロジェクトです。

もともと、OEM事業が中心だったマコト眼鏡さんでは、エンドユーザーの方々に『歩』AYUMIがさらに身近な存在となるようお届けしたいという考えがありました。

サングラスであれば、レンズを装着した完成品であるため、小売店はもとより、エンドユーザーユーザーの方々にも直接お届けすることができます。

ユーザー視点で形状やデザインをアドバイスさせていただき、サングラスの特長や、サングラスに込めた想いが伝わるよう、コンセプトの言語化をお手伝いしました。

 

その結果生まれたのが、AYUMI-S (『歩』サングラスシリーズ)-という新商品です。

『歩』ならではの掛け心地に加え、必要な光以外を遮断して視界を鮮明にする偏光レンズを採用し、目を紫外線から守ることを重視した商品を生み出しました。

「かけやすさ」にこだわり、レンズとフレームの相性を考えた高機能なサングラスづくりに職人が挑戦し続けています。

3.エンドユーザーのみなさまと出逢えるイベントの実施

『歩』AYUMIに込められた想いやこだわりが、暮し手のみなさまに届くよう、販売戦略の見直しも行っています。

メーカー企業は、実際に販売に携わり、エンドユーザーの方々との交流を直接する機会は少ないかと存じます。

 “aeru re-branding”では、眼鏡業界の方々やお客様に、販売会で『歩』AYUMIの良さを直感的に感じていただける販売会を開催しました。

 

2018年からは、継続して東京「aeru meguro」や京都「aeru gojo」で展示販売やトークイベント、さらにはお客さまのお声を眼鏡の開発に取り入れるワークショップを実施しました。

エンドユーザーのみなさまや、眼鏡業界のみなさまと交流の機会を設け、マコト眼鏡さんのモノづくりへのこだわりをお伝えしています。

 

その他、『歩』AYUMIのかけ心地良さをお客さまにお伝えするにあたり、現在の社会の状況と照らし合わせ、随時対話を行い、業務の整理・言語化をさせていただいています。

例えば、新型コロナウイルスの渦中でも、オンラインを利用し、販売会を継続して行うなどの工夫を行っています

大勢の方が来場する従来の合同展示会とは異なり、あえて規模・来場者数を絞ることで、より深くブランドについてお伝えでき、お客さまとの密度の高いコミュニケーションが可能になりました。

 

結果的に、例年以上の売上にもつながり、展示会にかかる費用を大幅にに削減できました。

“aeru re-branding”はブランド哲学を言語化することで、経営資源の選択と集中が可能になり、結果として利益が上がるという循環が生み出されたのです。

 


▲2018年5月3日〜6日、京都「aeru gojo」で展示販売を実施。
5月3日19時〜20時にトークイベントを実施。

 


▲2018年12月8日〜25日、東京「aeru meguro」での展示販売を実施。会期中には「職人の技を活かした、究極のセルロイド眼鏡〜福井県鯖江『歩』〜」と題するトークイベントを開催しました。

▲2019年11月3日、11月17日、12月1日に、京都「aeru gojo」、東京「aeru meguro」 福井県のマコト眼鏡さんの会場で、AYUMI 20周年特別 AYUMI新製品 企画共創ワークショップ「未来のあゆみ」を実施しました。

 


2020年10月27日、28日には、秋の眼鏡展示会期間に合わせて、予約制展示会を開催。会期中は、オンライン工房訪問イベントも実施しました。


東京「aeru meguro」での2021年10月17、19日に開催した予約制の展示会の様子。

このように、“aeru re-branding”では、会社やブランドの本質を共に追求することで、みなさまに信念を持って経営判断を行っていただけるようサポートいたします。また、そのブランド力の浸透のために、多方面でのお手伝いを行うことが可能です。

aeru re-branding” にご興味をお持ちの方へ

和えるでは、会社やブランドを末長く持続的に継承していきたいと考えていらっしゃるみなさまのお手伝いをする、“aeru re-branding”事業を進めております。

和えるの自社ブランド“0歳からの伝統ブランド”の立ち上げから、その他、多岐にわたる事業経験から培った知見を活かし、伝統ある会社やブランドの真の魅力を、世の中に伝わりやすくするお手伝いができればという想いで“aeru re-branding”事業をスタートしました。


企業や事業、ブランドの原点に立ち戻り、その本質を問い直す時間を伴走することで、ブレない軸を見つけ出し、整え、実際の業務やビジネスモデルを見直し、哲学の貫かれたブランド作りのお手伝いをしております。

会社やブランドの本質の言語化から、商品開発まで様々な角度でお手伝いができる“aeru re-branding”事業へご興味をお持ちの方は、こちらまでお問い合わせくださいませ。

取材をご希望の方へ

本件についての取材依頼など、お問い合わせはこちらよりご連絡くださいませ。