
CASES
100年先の未来まで続く企業であるために。令和6年度伴走型リブランディング支援事業「さが100年企業計画」中間報告会を開催
aeru re-branding
- クライアント
- 佐賀県庁さん
佐賀県内のものづくり企業の「自己変革力」の向上を目的とした、佐賀県庁が展開する伴走型リブランディング支援事業「さが100年企業計画」。
和えるは本事業において、これから100年、環境が変化しても自分たちの存在意義を見失うことなく、伝統を大切にしながらしなやかに変革できる企業であり続けられるように、その体質づくりに伴走しています。
2025年3月3日。
「さが100年企業計画」を通じて、ものづくりの未来に挑戦する熱意ある3社が集い、中間報告会を開催しました。
伴走型リブランディング支援事業を通じて、取り組んできたこととは。
直面した生みの苦しみや苦悩とは。
そして、この先の未来に向けた展望とは。
和える代表・矢島がファシリテーターを務め、これからの100年に向け第1歩を踏み出した3社の挑戦のリアルをお届けいたします。
下記の方に特におすすめの記事です。
- 地域ブランド創出のための取組みに興味・関心をお持ちの方
- ものづくりを行っている企業の方
- 自治体連携型の伴走型リブランディング事業の具体例を知りたい方
「さが100年企業計画」について
佐賀県内のものづくり企業の「自己変革力」を高める伴走型リブランディング支援事業です。企業の原点とありたい姿を明確にし、実際のビジネスモデルや体制との乖離を点検しながら、アプローチすべき課題を見つけ出し、既成概念にとらわれない発想で課題解決に挑戦します。
この度の事業では、和えるが現地訪問・オンラインセッションを交えて、伴走しながら本質的な課題を見出し、企業やブランドの哲学を言語化し、ブレない軸を整えることに取り組みました。
3社それぞれの現在地点
支援対象となった企業は、こちらの3社。伴走型リブランディング支援事業のプロセスと成果、課題を振り返りました。
1.「株式会社亀井製作所」
登壇者:(右)代表取締役社長 亀井容士乃氏 (左)常務取締役 亀井厚志氏
1947年創業、2010年に株式会社化。佐賀県伊万里市に拠点を置き、佐賀や長崎近郊の船舶艤装品(手すりなど)と金属製品を製造している会社
取り組んだ課題
2年後の工場移転(拡大)を見据えた、経営理念やビジョンの整理
伴走型リブランディングで実施した内容
経営メンバー3名を交えたワンメッセージの作成
今後の展望
ワンメッセージの確定、コンセプト文の作成、ワンメッセージを踏まえた施策の検討(ホームページ・営業資料の制作等)
伴走型リブランディングの感想
新社屋の建設を見据えて、企業の「幹」の再建に取組む株式会社亀井製作所さん。
代表取締役社長の亀井容士乃さんは「伴走型リブランディング支援事業を通じて、事業の変革に向けて真摯に向き合ってくれる素晴らしい社員に恵まれていることを実感した」と言います。また、本事業で思考の整理、言語化への伴走が助けになっているとも。
「ものづくりをする中小企業が元気だと、日本全体の活気も増していく。対話型のセッションを通じて、ワンメッセージを言語化し、会社を変革させていきたい」とこの先の意気込みを語りました。
2.「株式会社アイテク」
登壇者:代表取締役 福山徹氏
1939年に創業。佐賀県吉野ヶ里町に拠点を置き、薩摩本柘(さつまほんつげ)という珍しい木材を用いた印鑑の材料を製造している会社
取り組んだ課題
社員が自ら現状の課題を発見し、自発的に改善・解決に取り組んでいく風土の醸成
伴走型リブランディングで実施した内容
幹部社員(6名)に対し、印章市場が縮小する中での新規事業への所感、変えるもの・変えるべきではないもの、アイテクが100年企業になるために必要なもの等、ヒアリング
今後の展望
社史の制作を通したエンゲージメントの向上、会社の自分ごと化
伴走型リブランディングの感想
代表取締役の福山徹さんは、「印材製造市場の縮小に伴い、コーヒー焙煎やカフェ事業といった新事業を立ち上げる一方で、自分自身の想いや、社の未来について、社員と心から対話できていなかった」と、当初の課題感について語られました。
今回、「さが100年企業計画」でのセッションを通じて、これまで社員が積み重ねてきた努力、培われてきた技術、その過程で経験してきたさまざま苦労、育まれてきた社内文化など、社の礎となる「強み」と共に「社員への感謝」に改めて気づくことができたと言います。
重ねて、これらの気づきは社員との1対1の対話の中では得られなかったと、この度の伴走型リブランディング事業の効果を実感いただいておりました。
また今後は「社員と共に会社の歴史を紐解きながら“企業の存在意義を言語化”することで、選ばれる企業になり、スムーズに馴染んでいける。そんな新たな仲間を繋いでいける歯車を作って行きたい」と意気込みを語られました。
3.「株式会社中島製作所」
登壇者:(左)株式会社中島製作所 代表取締役社長 中島弘喜氏 (右)メック株式会社 代表取締役社長 中島和宣氏
半導体製造装置関連部品の製造・板金、機械加工・機械組立などを手がける会社。2025年6月に創立100周年を迎えます。
取り組んだ課題
中島製作所・メックグループへの帰属意識の向上
伴走型リブランディングで実施した内容
経営者・幹部メンバーを交えたワンメッセージの作成
今後の展望
ワンメッセージの確定、コンセプト文の作成、ワンメッセージを踏まえた施策の検討、内部浸透等
伴走型リブランディングの感想
今年6月に創立100年を迎えられますが、その先さらに100年、同じ山の頂上をめざしていくにあたって、2社共通の「幹」の設定に取り組まれています。これまで、ご兄弟である中島弘喜氏と中島和宣氏は、目の前の課題について議論はしてきたものの、未来を見据えた本質的な議論の機会はあまり持てていなかったそう。
「半導体業界が盛り上がりを見せる中、両社であわせて500人以上の社員を持つグループに拡大している。その一方、両社でシナジーを生めているかというと、まだそうではない」と語るのは弘喜氏。それに呼応し和宣氏は「10年、20年、もっと先の未来を見据えた時に、両社の存在価値とは何なのか?大切にしたいものは何なのか?それに関連する具体的な課題とは?
伴走型リブランディングという機会が、これらを話しシナジーを生むきっかけとなっている」と本事業の価値や期待感を語ってくださいました。
セッションには、お2人と共に社員の方も。参加されている中島製作所の社員である草野さんは、
「おふたりとも性格は違えども、“見据える未来”は同じだと感じている。その共通言語となる“幹”を育み支える“深く強い根っこ”が生えてきているのではないかと思う。深く強い根っこの上で育つ“幹”であれば、社員にも心から伝わる」と、社員の立場として客観的な視点でこれまでの活動を振り返りました。
100年先の未来まで続く企業であるためには
成果報告会の後半は、3社と和えるの矢島とでクロストークを実施しました。登壇者のお一人からの声を皮切りに、各社の取り組みを交換しあう良い機会が生まれました。
100年先の未来まで続く企業であるためには、何よりも健やかに働いていただける社員さんが大切という共通見解に。そこで、離職を減らすこと、新たな人材を確保していくことについて、各社アドバイスをしあいながら議論がなされました。
株式会社アイテクの福山徹氏は「機械を用いて作業を平準化していくことで、互いに実務をフォローしあうことが可能になるのは、製造業ならでは。その結果、社員それぞれの生活に合わせた柔軟な働き方が実現でき、離職率の低下に繋がっている」と言います。
社員個々の生活の一部となる「働きやすい会社」でいることが功を奏しているのではないかと語りました。
また中島製作所の中島弘喜氏は、自社の離職数が少ない要因を以下のように考えます。
「会社のビジョンや具体的な定量的目標を掲げ、達成状況やそれに連動する利益、賞与などもオープンに開示することで、努力が成果に結びついたという“成功体験”ができる。数値化と見える化が重要だと考えている。」
一方、2024年度に150名程度の応募があったメック株式会社の中島和宣氏は「製造業を志して応募してきたのではなく、ホームページに掲載している想いに共感して応募した方が多かった」と、新たな人材確保における企業理念や経営者の言葉の重要性を感じていると、改めて振り返りました。
株式会社亀井製作所の亀井容士乃氏も同様に、新たな人材確保に向けて「入り口であるホームページやSNSでの経営メッセージの発信が重要。しっかりと取組んでいきたい」と、伴走型リブランディング支援事業を通じて、ワンメッセージを言語化した後の活用法についても意気込みを語りました。
伴走型リブランディング支援事業がめざすもの
会場やオンラインで参加いただいたみなさまから活発に質問が飛び交ったクロストーク。最後には、和えるが行う伴走型リブランディング支援事業に関するご質問をいただきました。
伴走型リブランディング支援事業は、一般的な課題解決型のコンサルティングとは異なります。和えるが答えを提示するのではなく、他者(和える)を介して自己対話を繰り返すことによって、時代と言葉が変わっていっても、100年変わらない「幹」を言語化するお手伝いをしています。
自己対話を繰り返し、磨き上げていくプロセスは決して平坦な道のりではありませんが、一度「幹」にたどり着いていただけると、ブレない軸として定まり、全ての事業活動が繋がっていくものだと考えております。
皆で同じベクトルを向き、歩む
成果報告会終了後には、懇親会も開催されました。懇親会では、佐賀県庁や登壇企業、参加者のみなさまとが活発な意見交換がされている様子も伺えました。
それぞれの企業がお互いから学び合い、刺激を得ることで地域全体で活力が生まれていくのではないでしょうか。
「地域のブランド力向上・地域活性化」に携わる自治体の方へ
和えるではこれまで、地域の大切な伝統を次世代につなぐため、「地域の中小企業」を対象とした「伴走型リブランディング事業」の “aeru re-branding”を進めてまいりました。
近年では、行政主体のリブランディングプロジェクトに携わることも増えており、より多くの、リブランディングを必要としている地域の中小企業さまに出逢い、地域全体を元気に活性化していくためには、全国各地の自治体さまとの連携が必要不可欠です。
「伴走型リブランディングで地域の中小企業を応援したい」
「地域の未来にとって重要な、経済と文化を官民一体となって盛り上げていきたい」
「地域の大切な伝統を、次世代につなぎたい」
という自治体のご担当者さまは、ぜひ一度、お気軽にご連絡いただけますと幸いです。
ご相談・お問合せはこちらから