2018.06.21

6月15日放送、FM京都ラジオ「Artisan’s Talk」〜鳴物神仏具「南條工房」の南條和哉さん〜

「りーん」
1分間ほど続く、「おりん」の余韻。
6月15日放送のラジオ番組「Artisan’s Talk」では、
仏具の「おりん」の音色が響き渡りました。

京都の若手職人さんや、
伝統を次世代につなぐ取り組みをされている方々などのお声をお届けしている、
「α-STATION」FM京都のラジオ番組『Artisan’s Talk』
毎週金曜朝6時から、和える代表の矢島がDJを務めさせていただいております。

6月15日のゲストは、
仏具の製作を手がけていらっしゃる、「南條工房」の南條和哉さん。
仏具の中でも「鳴物仏具」とよばれる、「おりん」を作っていらっしゃり、
音色にかける想いや「おりん」の製作工程についてお話を伺いました。

反響して広がる音色〜ご先祖様とつながる時間〜


南篠さんが手に持っていらっしゃるのは、直径12cmほどの大きさの「おりん」。
矢島も「音が遠くにいったり、近くに行ったり、繰り返しているように感じる」と話しておりましたが、すぅーっと響き渡る音色に心がとても落ち着きました。
「おりんの中で、音がが反響している。はねかえるようにして、音が広がっていく。」と南篠さん。

6代続き、「南條工房」の次期7代目となられる南條さんは、この音色に魅せられて、
この世界に入ることをお決めになったとおっしゃいます。
「これまで聴いた音色とは全く違った!」とのことで、
ご結婚を機に、奥様の家業を継がれました。

南篠さんによると、「おりん」は音を鳴らしている間、
ご先祖様と気持ちがつながっている時間や
精神的に落ち着く時間になるという意味合いがあるそう。
「リラックスしていただいたり、手を合わしてくださるところに置いていただいたりするのはとても嬉しい」と南篠さんはおっしゃっていましたが、「りーん」という音色は確かに、生きているような、温度を感じる音だと思いました。

音色を生み出すために、金属や鋳型と向き合う

番組の後半では、「おりん」の製作工程を詳しく伺いました^^
一つひとつ「鋳型」を作るところから始まり、
「佐波理(サハリ)」と呼ばれる銅と錫を調合した金属を流し入れ、
形を作り上げる「おりん」。
FM京都 artisan's talk おりん 南條和哉

「鋳物」づくりに欠かせない「鋳型」。
金属を入れて圧がかかったときにも、丈夫な鋳型を作りあげるために、
南篠さんの工房では、土や砂で固めた型を天日干しし、その後、700〜800度で焼き上げることをされてます。
「これくらいの炎の上がり方であれば、もう少しくべよう」などと、感覚で薪をくべてじんわり焼いていくとのことで、
そのときどきの土や天気、くべる木材に合わせて、薪のくべ方も調整なさっているそう。
自然環境や材料が変化する中で、技術を変化させ、同じものを作り続ける難しさ・醍醐味についてお話くださいました^^

出来上がった「鋳型」に「佐波理」を流し込む工程でも、タイミングが大切だそう。
流し込むタイミングを間違えると、思い描く「おりん」が出来上がらず、
音が鳴らなかったり、表面がつややかでないものが生まれたりするとのこと。
「鋳型」の焼き具合や、お天気にも左右されます。
「常に違うものができる。それを一緒にできるようにししている。」という、
南篠さんの職人技を感じるお言葉がとても印象的でした。

その他にも、鋳型から「佐波理」を取り出す作業や、形を整えるための切削作業においても、
刻々と変化する金属の性質を理解した上でお仕事をなさっているそう。

成形時に少しでも傷がつくと、音が鳴らない。
徐冷して固めていく工程を経ると、音が鳴る。

姫路の”aeru room”に設えさせていただいている、姫路の伝統産業品「明珍火箸」も
音色を風鈴のようにして楽しめるものですが、打ち方によって音色は変わると職人さんはおっしゃっていました。
今回、南篠さんのお話を伺い、目指す音色を生み出すために、金属やそのときどきの変化に向き合いながらされる丁寧な手仕事、
そして、それを感覚で紡いできた先人の智慧に、改めて感動しました。

明日6月22日6:00からの放送でも、引き続き、「南條工房」の南條さんをお招きします。
どうぞお楽しみに!

aeru meguro ホストシスター松下

これまでの放送はこちら

◯2018年度のゲスト
●「楽芸工房」西陣織 製糸部門 伝統工芸士の村田紘平さん(前編後編
●桶屋「近藤」 近藤太一さん(前編後編
●京・地張り提灯専門「小嶋商店」の小嶋俊さん(前編後編
※小嶋さんとは、以前、aeru gojoにて、門川大作京都市長と矢島の3名で、
「京都から伝統産業を活性化し、日本全国を元気に」というテーマで鼎談させていただきました。
◯鼎談の様子はこちら
●京友禅ブランド「SOO(ソマル)」代表 日根野孝司さんら4名(前編後編
●京焼・清水焼 絵付け師の田辺桂さん(前編後編

◯2017年度のゲスト
これからの経済を担う京都の若手職人さんたちをはじめ、
経済界の方々や商品を生み出すことや届けることに携わっていらっしゃる方々など。
各回の内容の記事を、こちらよりご覧いただけます。

「Artisan’s Talk」番組詳細

放送局:「α-STATION」 FM京都
放送日時:毎週金曜日 朝6:00-6:25
リクエストメッセージはこちらから。
放送エリア:京都府・大阪府・兵庫県・滋賀県・奈良県の5府県
(FMラジオチューナーを通じてお聴きいただけます)
※なお、パソコンやスマートフォンでラジオが聴ける「radiko.jp」では、
放送から1週間に限り、聴き直すこともできます。
「radiko.jpプレミアム」にご加入いただくと、全国どこでもお聴きいただけます。
全国民放FM52局のラジオ放送を、エリア制限なく聴取できるau公式ラジオアプリ、LISMO WAVEにも対応しております。

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