京都の若手職人さんや
伝統を次世代につなぐ取り組みをされている方々などのお声をお届けする、
「α-STATION」FM京都のラジオ番組『Artisan’s Talk』
和える代表の矢島がDJを務めさせていただき、毎週金曜朝6時から放送しております。

9月21日のゲストには、先週に引き続き
金彩扇子作家の米原康人(よねはらやすと)さんをお招きしました。

均質化への挑戦

能や日本舞踊、茶道など伝統芸能で使われる扇子に
金箔を貼るお仕事をされている、米原さん。
舞台ごとに定められたものや、
ご依頼を受けたものを形にすることが主なお仕事ですが、
2015年からは“扇子本来の美しさ”を表現しようと、
オリジナルの扇子を作る挑戦をされています。
扇子の骨をどのような大きさにするのか、どのような絵を描くか、
そして、どのような箔押しをするのか・・・
ご自身でプロデュースすることで、“選ぶ豊かさ”を生み出そうとされているように感じました。

取り組みの根源にあるのは、米原さんの「均質化することへの危機感」。
現在、印刷で大量生産されている扇子が増えてきており、
機能性と安さを追求することで、
同じような扇子しか知らない世代がいることを不安に思っておられる米原さん。
箔押しの技術など、装飾を施すことが
“価格が高くなってしまうから、不要である”という雰囲気に
一石を投じたいと思っていらっしゃいます。

例えば、夏の扇子。
仰いで風を生み出すという上で、箔が押される必要はないとされつつあるとのこと。
しかしながら、それが普通になってしまうと、
「夏の扇子には箔がないものだ」ということが一般常識となってしまいます。
知らないことで、消えていってしまう技術があることに、改めて気付かされました。
均質化することで、私たちは“選ぶ”ことができなくなってしまうのです。

矢島も、「美しいものへの憧れを持ちながら生きていくことは、感性を育む上でも大切だと思う。
人生のどこかで憧れのものに出逢い、それが今は持てなかったとしても、
その想いは自分の人生を豊かにするのではないでしょうか」と話しておりましたが、
米原さんの扇子が、誰かの人生を変えることもあるのだろうなと、とてもわくわくしました。
職人さんから生まれる多様な表現は、私たちの想像力をいつもかきたててくれます。
米原さんは、矢島も話していた「感性を育む扇子」を生み出されようとしているのかもしれません。

変わらないことも大切に〜ぶれないように〜

扇子の他にも、箔押しの技術を活かして、アートパネルを作る挑戦もされています。
マンションなども増え、同じ部屋が立ち並んでいる時代、
日本のアイデンティティを日常の中に感じられるようにしたいとのこと。
ここにも、均質化へ挑戦が感じられました。

私たちのホテルをプロデュースする事業“aeru room”も、まさに同じ考え方です。
どこに泊まっても、同じようなお部屋が多くなり、
ホテルも均質化している、と感じることがあります。
そんな中で、地域の伝統や文化を伝えるお部屋“aeru room”を通して
ご宿泊なさる方がその地域の魅力と出逢い、
ホテルの方にとっても「地域にある理由」を感じられるお部屋になれると嬉しいです。

お仕事に携わられて、およそ10年。
米原さんから「ぶれないように」というお言葉が、
何度も出ていらっしゃることも印象的でした。
海外で出展されたイベントでも、
流されてしまう自分に楔(くさび)を打ちたかったとお話しになられ、
挑戦の中でも、何を変えずに大切にするのかを考えていらっしゃる姿がいつもあるように感じました。
「できることは、技術を使ってものを作ることしかできない。」
ご自身を見つめながら、変わりゆく時代の中で、
俯瞰的にお仕事をされているようです。

昨年、京もの認定工芸士に選ばれた米原さん。
以前、その若手職人さんらで構成される「響」のイベントとして、
「過去と現在(いま)」というテーマで
aeru gojoにて展示をしてくださいました。
ご自身の過去の作品と現在の作品を展示してくださった米原さんのご感想も
「内面の変化を整理するきっかけになった」というもの。
常に立ち位置を把握しながら挑戦されている生き方をお教えくださり、
とても学びの多い時間となりました。

明日のゲスト

さて、明日9月28日朝6:00からの放送では、
古橋染工 古橋敏史さんをゲストにお招きします。
どうぞお楽しみに^^

aeru meguro ホストシスター松下

これまでの放送はこちら

◯2018年度のゲスト
●「楽芸工房」西陣織 製糸部門 伝統工芸士の村田紘平さん(前編後編
●桶屋「近藤」 近藤太一さん(前編後編
●京・地張り提灯専門「小嶋商店」の小嶋俊さん(前編後編
※小嶋さんとは、以前、aeru gojoにて、門川大作京都市長と矢島の3名で、「京都から伝統産業を活性化し、日本全国を元気に」というテーマで鼎談させていただきました。
◯鼎談の様子はこちら
●京友禅ブランド「SOO(ソマル)」代表 日根野孝司さんら4名(前編後編
●京焼・清水焼 絵付け師の田辺桂さん(前編後編
●鳴り物仏具「南條工房」の南條和哉さん(前編後編
●「齋田石材店」代表の5代目、齋田隆朗さん(前編後編
●「弘誠堂」表具師の 田中健太郎さん(前編後編
●陶芸作家の小川文子さん(前編後編
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<5週連続 夏休み特別編!京都府与謝野町の工房から>

●「羽賀織物」三代目の羽賀信彦さん(前編後編
●「高美機業場」三代目の高岡徹さん(前編後編
●与謝野町長の山添藤真さん(特別編
※山添さんとは、以前、経済産業省のMETI Journal「政策特集8月 地域の未来」の特集にて、対談をさせていただきました。
◯METI Journalの記事はこちら
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●金彩扇子作家の米原康人さん(前編

◯2017年度のゲスト
これからの経済を担う京都の若手職人さんたちをはじめ、
経済界の方々や商品を生み出すことや届けることに携わっていらっしゃる方々など。
各回の内容の記事を、こちらよりご覧いただけます。

「Artisan’s Talk」番組詳細

放送局:「α-STATION」 FM京都
放送日時:毎週金曜日 朝6:00-6:25
リクエストメッセージはこちらから。
放送エリア:京都府・大阪府・兵庫県・滋賀県・奈良県の5府県
(FMラジオチューナーを通じてお聴きいただけます)
※なお、パソコンやスマートフォンでラジオが聴ける「radiko.jp」では、
放送から1週間に限り、聴き直すこともできます。
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