2018.10.04
9月28日放送、FM京都ラジオ「Artisan’s Talk」〜古橋染工 古橋敏史さん〜
京都の若手職人さんや
伝統を次世代につなぐ取り組みをされている方々などのお声をお届けする、
「α-STATION」FM京都のラジオ番組『Artisan’s Talk』。
和える代表の矢島がDJを務めさせていただき、毎週金曜朝6時から放送しております。
先日9月29日には、
番組にご出演いただいた京都の若手職人さんをはじめ、
“0から6歳の伝統ブランドaeru”のものづくりを支えてくださっている職人さんを
京都にお招きし、みなさまが交流していただけるような場を開催させていただきました。
京都市の門川市長もご挨拶に駆けつけてくださり、
産地を越えて、「日本の伝統をつなぐ」熱い想いを持ってお仕事されている
職人さんたちが出逢う、熱気あふれる会となりました。
『Artisan’s Talk』第一回のゲストのつづれ織り職人の森さんから、
先週のゲストにお越しくださった金彩扇子作家の米原さんまで、
お越しくださったみなさま、どうもありがとうございました。
さて、ラジオ番組『Artisan’s Talk』9月28日のゲストには、
古橋染工(ふるはしせんこう)の古橋敏史さんをお招きしました。
着物や帯などの地の色を染める「引き染め(ひきぞめ)」をされている古橋さん。
お父様の代から始まった古橋染工の2代目として、
引き染めの魅力やお仕事を通して生まれた、ご自身の価値観の変容について伺いました^^
全体の色を担う〜引き染めの魅力「ぼかし」〜
みなさま、「引き染め」と聞いて、イメージは湧きますでしょうか。
実は、着物の地の色を決めるとても大切な工程の一つです。
模様や刺繍を施す前のベースとなる着物自体の色を施し、
「ぼかし」を入れるなど、優美な表情を地に生み出すのも「引き染め」の技術です。
お写真のように、反物を柱と柱に引っ張って宙吊りにし、
刷毛で染めていく技術のことをいい、
古橋さんはその技術を用いて、着物や帯の他、
ショールや小物などを染めていらっしゃいます。
伸子(しんし)と呼ばれる竹の先に針が着いたもので反物を伸ばした後、
最初にするのは、白い生地に「地入れ(じいれ)」をすること。
にじみを防止したり、色を定着させて発色を良くしたりするために行う作業で、
海藻の「ふのり」を薄く溶かしたものを刷毛でムラなく塗っていかれるのだとか。
それぞれの生地によって、どのように「地入れ」するのかが腕の見せ所。
濃すぎると裏の染め具合がうまくいかず、
初めての生地はどのように進めたらよいかを試行錯誤し、
「見て触って、感覚で染めていく」そう。
古橋さん曰く、引き染めの魅力の一つは「ぼかし」。
染め上げる際に、すぱっときれいにぼかされているものと、
もやもやとぼやけてしまったようなものがあるのだとか。
狙って気持ちよく、なだらかにぼやけている「ぼかし」を作るのは難しく、
それも生地と対話されながら、挑戦されているようでした。
着物をお召しになっている方を見ると、
まず模様や刺繍に目が行きがちですが、古橋さんのお話を伺い、
着物の地の色や「ぼかし」にも注目したくなりました。
自分にとって顔映りがいいかなど、着物を決める際に大事な要素である古橋さんのお仕事。
「全体の色を担っている」という古橋さんのお言葉がとても印象的でした。
新たな自分と出逢う〜好きな色と着物に合う色〜
現在42歳の古橋さんは、20代後半から家業を継がれました。
当初は「色のはっきりとした原色が好き」だった古橋さん。
染め上げる中で、赤、青というはっきりした原色に無意識に寄ってしまい、
これでは着れないとお父様に言われたこともあるのだとか。
落ち着いた色を何度も叩き込まれ、
くすんで見えたという色が今では「穏やかで着物には合うと思うようになった」そう。
先週の米原さん同様、京もの認定工芸士でもいらっしゃる古橋さんは、
以前、その若手職人さんらで構成される「響」のイベントとして、
「過去と現在(いま)」というテーマで
aeru gojoにて展示をしてくださいましたが、
過去と現在で「色彩感覚が変わった」というお話も。
お仕事を通して、新たな自分に出逢うことを厭わず、
楽しんでいらっしゃる古橋さんのお話は、「何かやろう!」と思ったときに、
違いも素直に受け入れ、その中で自分らしさを出していく、
そんな働き方への挑戦をされているのだと感じました。
明日のゲスト
古橋さんの作品は、10月24〜28日に京都文化博物館で開催される
”京の名工展”でご覧いただけます。
明日10月5日朝6:00からの放送では、
引き続き、古橋染工の古橋さんをゲストにお招きし、
古橋さんのお人柄に迫ってまいります。
どうぞお楽しみに^^
aeru meguro ホストシスター松下
これまでの放送はこちら
◯2018年度のゲスト
●「楽芸工房」西陣織 製糸部門 伝統工芸士の村田紘平さん(前編・後編)
●桶屋「近藤」 近藤太一さん(前編・後編)
●京・地張り提灯専門「小嶋商店」の小嶋俊さん(前編・後編)
※小嶋さんとは、以前、aeru gojoにて、門川大作京都市長と矢島の3名で、「京都から伝統産業を活性化し、日本全国を元気に」というテーマで鼎談させていただきました。
◯鼎談の様子はこちら
●京友禅ブランド「SOO(ソマル)」代表 日根野孝司さんら4名(前編・後編)
●京焼・清水焼 絵付け師の田辺桂さん(前編・後編)
●鳴り物仏具「南條工房」の南條和哉さん(前編・後編)
●「齋田石材店」代表の5代目、齋田隆朗さん(前編・後編)
●「弘誠堂」表具師の 田中健太郎さん(前編・後編)
●陶芸作家の小川文子さん(前編・後編)
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<5週連続 夏休み特別編!京都府与謝野町の工房から>
●「羽賀織物」三代目の羽賀信彦さん(前編・後編)
●「高美機業場」三代目の高岡徹さん(前編・後編)
●与謝野町長の山添藤真さん(特別編)
※山添さんとは、以前、経済産業省のMETI Journal「政策特集8月 地域の未来」の特集にて、対談をさせていただきました。
◯METI Journalの記事はこちら
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●金彩扇子作家の米原康人さん(前編・後編)
◯2017年度のゲスト
これからの経済を担う京都の若手職人さんたちをはじめ、
経済界の方々や商品を生み出すことや届けることに携わっていらっしゃる方々など。
各回の内容の記事を、こちらよりご覧いただけます。
「Artisan’s Talk」番組詳細
放送局:「α-STATION」 FM京都
放送日時:毎週金曜日 朝6:00-6:25
リクエストメッセージはこちらから。
放送エリア:京都府・大阪府・兵庫県・滋賀県・奈良県の5府県
(FMラジオチューナーを通じてお聴きいただけます)
※なお、パソコンやスマートフォンでラジオが聴ける「radiko.jp」では、
放送から1週間に限り、聴き直すこともできます。
「radiko.jpプレミアム」にご加入いただくと、全国どこでもお聴きいただけます。
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