2018.10.11
10月5日放送、FM京都ラジオ「Artisan’s Talk」〜古橋染工 古橋敏史さん〜
京都の若手職人さんや
伝統を次世代につなぐ取り組みをされている方々などのお声をお届けする、
「α-STATION」FM京都のラジオ番組『Artisan’s Talk』。
和える代表の矢島がDJを務めさせていただき、毎週金曜朝6時から放送しております。
ラジオ番組『Artisan’s Talk』10月5日のゲストは、
前週に続き、古橋染工2代目の古橋敏史さん。
着物や帯などの地の色を染める「引き染め(ひきぞめ)」をされている古橋さん。
前回は、「引き染め」という、着物の地の色を決めるとても大切な工程の技術について詳しく教えていただきました。
また、引き染めの魅力やお仕事を通して生まれた、ご自身の価値観の変容についてお話を伺いました。
「和」に触れていただきたい
引き染めのお仕事の中では、着物の反物を染めることが主だということですが、
「着物は敷居が高いので、風呂敷や小物から和に触れてもらえたら」という想いから、
引き染めの技術を活かした、小物類も作り始めたという古橋さん。
まず、小物から引き染めに興味を持っていただき、
やがて着物にも興味が移行してもらえるのではないかと、取り組まれています。
古橋さんが引き染めを施された、色鮮やかな風呂敷は、
今年8月に京都直営店「aeru gojo」にて開催された展示「京もの認定工芸士会『響』 セレクション展「過去と現在」
でも、多くの方々にご覧いただきました。
ぱっと目を引く原色や、目を凝らすと浮かび上がる「ぼかし」の技術。
世代を問わずご興味を持たれ、多数ご質問をいただきました^^
こちらの展示に出展された古橋さんの風呂敷の生地は、
実は8月の特別編のゲストとしてご出演いただいた、
与謝野町の高岡徹さんが織り上げた「丹後ちりめん」でした!
◯「高美機業場」高岡徹さん(前編・後編)
お2人は、京もの認定工芸士として同年に認定された「同期」。
風呂敷を染めようと考えられた古橋さんがどこで生地を仕入れようか考えていたときに、
高岡さんが風呂敷生地を織り上げていることを知り、声をかけられたのだとか。
与謝野町の生地が、引き染めの技術と和えられ、新たな魅力が誕生していたのですね。
「引き染め」を次世代につなぐために
着物だけにこだわるのでなく、小物類をつくったり、
昔だとなかったような柄、「何だこれは」と思われるような作品を作られたりと挑戦をされている古橋さん。
現状だと、引き染めをやりたいという方がいても、雇えない状態の工房も多いそうで、
まずは、興味を持ってもらえるようなもの作りに取り組んでいらっしゃいます。
矢島も話しておりましたが、
伝統産業を取り巻く環境が厳しいと、マイナスの方向で捉える大人たちも多いのが現状です。
しかし、グローバル化していく中で、伝統産業は「日本が日本である理由」を明確に表すことができる、
むしろ輝いている産業なのです。
私たち和えるでも、日本らしさである職人さんの技術や文化を、発展させて次世代につなげるため日々取り組んでいます。
大人たちの捉え方次第で、次世代を担う子どもや、若者たちからの見え方が変わるのです。
「古橋さんは、目がキラキラしていますね。」
と矢島が話していたように、古橋さんの一言ひとことから、
やりがいを持って、引き染めのお仕事に取り組まれていることが伝わってきます。
仕事と暮らしを分けるのではなく、「生きる」の中に「働く」がある。
私たちは、和えるでご一緒している職人さんたちからも、そのような姿勢を日々感じています。
このようにやりがいを持って働く大人の背中が、自然と子どもたちの、「伝統産業」や、「働く」ことについての興味が
育まれるのではないでしょうか。
◯「生きる」の中に「働く」がある 矢島の著書「やりがいから考える 自分らしい働き方」
新たな挑戦
「見たことのないような柄、色使いを生み出していきたい」
と、新しい挑戦を続ける古橋さん。
業界の先輩方にはお叱りを受けそうだとおっしゃっていましたが、
だからと言って「やらない」という選択をするのではなく、
「もしかしたら若い人には、こちらの方が良いのでは」と、希望を持って挑戦をされている姿が印象的でした。
もともとは原色が好きだったという古橋さんは、仕事を通して淡い柔らかい色を好きになったそうです。
きっと、原色・淡色どちらかにするのではなく、その両方を和えて、作品を生み出していくのでしょうね。
古橋さんのこれからの作品がとても楽しみです!
普段、ご自身の仕事について話す機会は少ないという古橋さん。
「収録に行きたくない」とおっしゃるほど、お話しされるのは苦手ながらも、
熱く力強くお話ししてくだいました。
どうもありがとうございました^^
明日のゲスト
古橋さんの作品は、10月24〜28日に京都文化博物館で開催される
”京の名工展”でご覧いただけます。
また、2019年1月には、みやこメッセにて、古橋さんが所属されている
「京もの認定工芸士」の若手職人さんから構成された職人集団「響」単独の展示・販売会を開催予定とのこと。
こちらでは、ご覧いただくだけでなく、風呂敷や小物をお手に取っていただくこともできるそうです。
作品はどれも、ふだんの暮らしに取り入れやすいものばかりとのこと^^
明日10月12日朝6:00からの放送では、
横山竹材店 取締役専務の横山裕樹さんをゲストにお招きし、お話を伺います!
どうぞお楽しみに^^
aeru gojoホストシスター 中川
これまでの放送はこちら
◯2018年度のゲスト
●「楽芸工房」西陣織 製糸部門 伝統工芸士の村田紘平さん(前編・後編)
●桶屋「近藤」 近藤太一さん(前編・後編)
●京・地張り提灯専門「小嶋商店」の小嶋俊さん(前編・後編)
※小嶋さんとは、以前、aeru gojoにて、門川大作京都市長と矢島の3名で、「京都から伝統産業を活性化し、日本全国を元気に」というテーマで鼎談させていただきました。
◯鼎談の様子はこちら
●京友禅ブランド「SOO(ソマル)」代表 日根野孝司さんら4名(前編・後編)
●京焼・清水焼 絵付け師の田辺桂さん(前編・後編)
●鳴り物仏具「南條工房」の南條和哉さん(前編・後編)
●「齋田石材店」代表の5代目、齋田隆朗さん(前編・後編)
●「弘誠堂」表具師の 田中健太郎さん(前編・後編)
●陶芸作家の小川文子さん(前編・後編)
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<5週連続 夏休み特別編!京都府与謝野町の工房から>
●「羽賀織物」三代目の羽賀信彦さん(前編・後編)
●「高美機業場」三代目の高岡徹さん(前編・後編)
●与謝野町長の山添藤真さん(特別編)
※山添さんとは、以前、経済産業省のMETI Journal「政策特集8月 地域の未来」の特集にて、対談をさせていただきました。
◯METI Journalの記事はこちら
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●金彩扇子作家の米原康人さん(前編・後編)
●古橋染工の古橋敏史さん(前編)
◯2017年度のゲスト
これからの経済を担う京都の若手職人さんたちをはじめ、
経済界の方々や商品を生み出すことや届けることに携わっていらっしゃる方々など。
各回の内容の記事を、こちらよりご覧いただけます。
「Artisan’s Talk」番組詳細
放送局:「α-STATION」 FM京都
放送日時:毎週金曜日 朝6:00-6:25
リクエストメッセージはこちらから。
放送エリア:京都府・大阪府・兵庫県・滋賀県・奈良県の5府県
(FMラジオチューナーを通じてお聴きいただけます)
※なお、パソコンやスマートフォンでラジオが聴ける「radiko.jp」では、
放送から1週間に限り、聴き直すこともできます。
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