2018.11.08
11月02日放送、FM京都ラジオ「Artisan’s Talk」〜陶芸作家 岡山高大さん〜
毎週金曜朝6時から放送している「α-STATION」FM京都のラジオ番組『Artisan’s Talk』。
京都の若手職人さんや伝統を次世代につなぐ取り組みをされている方々などをゲストとしてお招きし、和える代表の矢島がDJを務めさせていただきながらお話を伺っております。
11月2日のゲストは、陶芸作家の岡山高大(たかひろ)さん。
先週の放送では、家業である「岡山製陶所」での“職人”としてのお仕事があるからこそ、
「自分らしさ」を追求する“作家”としてのものづくりができるという、
“職人”と“作家”の二足のわらじを履く岡山さんなりの想いを中心にお聞きしました。
お仕事を始められて、16年。
今回は、42歳の岡山さんがさらに“職人”として、どのようなものづくりに挑戦していかれたいかについて、
じっくり伺いました!
新たなものづくりへ
岡山さんの“陶芸作家”としての作品作りに欠かせないのが、こちら。
粘土で形をつくったところに押し、文様をつけるための判子です!
一つひとつ手作りされ、思い思いに押すことで、様々な表情を生み出していらっしゃいます。
茶道のお茶碗などで見かける「三島手(みしまで)」に見られる技法で、
岡山さんは乳白色の粘土で形を作ったものに、このような判子で模様をつけた後、
こげ茶色のい土でお化粧をして、透明な釉薬をかけて仕上げられます。
様々な柄の判子がありますが、当初は使い分けることができなかったというお話も。
一つの器の中でまとめきれず、全て菊模様だけで仕上げていたときもあり、面白みがなかったかもしれないと
岡山さんは振り返ります。
今は、「自分らしさ」を表現しようと、柄を追求され、新たな色使いにも挑戦。
デザイナーさんたちとの出逢いの中で、「三島手」という工程を一度分解し、
判子を押した部分にあえて土を埋めなくてもいいのではないか?
白金彩を施してみてはどうだろうか?
・・・などと、常にご自身と向き合いながら作品作りをされていらっしゃいます。
最先端技術の対極にあるものづくりとは
番組の後半では、「3DプリンターやITの技術が出始め、今後より感性の異なる陶芸家が誕生しそうだ」という岡山さんのお話も飛び出しました。
頭で思い描いた形を、様々な技術を用いて、IT・プロダクトデザイン・陶芸家など、
新しいジャンルの人たちと力を和えながら、いつか展示会を行いたいとおっしゃる岡山さんのお声は
とてもいきいきとしていらっしゃいました。
一方で、最先端の技術が生まれるからこそ、「自然でしかなしえない表現」もあるというお話も。
備前焼や信楽焼のように、薪の力で焼くことで、その跡が残っていくようなものづくりを例えに、
人間がコントロールしてものづくりをする世界と、
コントロールできない自然に身を任せて行うものづくりをする世界に二極化していくのかもしれないと、岡山さん。
どうしたらITで表現できないものが生まれるのか、人間の手が入ることで生まれる深みは何なのか、改めて考えるきっかけをいただきました^^
岡山さんの作品には、「貫入(かんにゅう)」が入ったものもあります。
「貫入」とは、窯で焼く際に整形した粘土と、その上にかけた釉薬の縮む割合に差が生まれることで、ヒビのように見えるもののこと。
こちらの岡山さんの作品は、桜のようなお色味で、
亀の甲羅のような文様になった「亀甲貫入(きっこう)」、「薔薇貫入」とよばれるものです。
京焼でよく使われていた釉薬とのことですが、
手間がかかることや成功率が低いことから、なかなか使われなくなったとおっしゃられていました。ぽってりと、深い立体感があるところが魅力的ですね。
「貫入」は、aeruの『福岡県から 小石原焼の こぼしにくいコップ』にも見られます。
使っていくうちに、お茶などの色が染み込み、
その人だけの「貫入」に育っていきます。
人間の暮らしが入り込むことで、完成していく「貫入」の楽しみ方について、
矢島も「一人で生きていけなさそうな、少し不便なかわいさをもったもの。
それは、次の時代の心の豊かさを感じられるもの」と話しておりましたが、
最先端の技術と、自然の力、両方があることで、様々な恵みに出逢える私たちはとても魅力的な時代に生きていると感じました。
今後、新たに岡山さんのアイデアが形となり、世界中に届いていくのがとても楽しみです。
岡山さんの作品は、
京都の泉涌寺~東福寺で開催される大陶器市「第25回窯元もみじまつり」にてご覧いただけるそうです!
11月17日〜25日に開催され、お食事やろくろ体験なども。
芸術の秋、紅葉の秋にぜひ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
明日のゲスト
明日11月8日朝6:00からの放送は特別編。
「輪島キリモト」代表の桐本泰一さんと「三井住友ファイナンス&リース」五十嵐 圭一さんをお招きします。
日本の伝統工芸の担い手に、注目と称賛が当たる機会を創ることを目的に創られた「三井ゴールデン匠賞」。
矢島が審査員を務めさせていただいております。
桐本さんは、「第2回 三井ゴールデン匠賞」で“グランプリ”を獲得されました。
どうぞお楽しみに^^
aeru meguroホストシスター松下
これまでの放送はこちら
◯2018年度のゲスト
●「楽芸工房」西陣織 製糸部門 伝統工芸士の村田紘平さん(前編・後編)
●桶屋「近藤」 近藤太一さん(前編・後編)
●京・地張り提灯専門「小嶋商店」の小嶋俊さん(前編・後編)
※小嶋さんとは、以前、aeru gojoにて、門川大作京都市長と矢島の3名で、「京都から伝統産業を活性化し、日本全国を元気に」というテーマで鼎談させていただきました。
◯鼎談の様子はこちら
●京友禅ブランド「SOO(ソマル)」代表 日根野孝司さんら4名(前編・後編)
●京焼・清水焼 絵付け師の田辺桂さん(前編・後編)
●鳴り物仏具「南條工房」の南條和哉さん(前編・後編)
●「齋田石材店」代表の5代目、齋田隆朗さん(前編・後編)
●「弘誠堂」表具師の 田中健太郎さん(前編・後編)
●陶芸作家の小川文子さん(前編・後編)
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<5週連続 夏休み特別編!京都府与謝野町の工房から>
●「羽賀織物」三代目の羽賀信彦さん(前編・後編)
●「高美機業場」三代目の高岡徹さん(前編・後編)
●与謝野町長の山添藤真さん(特別編)
※山添さんとは、以前、経済産業省のMETI Journal「政策特集8月 地域の未来」の特集にて、対談をさせていただきました。
◯METI Journalの記事はこちら
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●金彩扇子作家の米原康人さん(前編・後編)
●古橋染工の古橋敏史さん(前編・後編)
●横山竹材店 横山裕樹さん(前編・後編)
●陶芸作家 岡山高大さん(前編)
◯2017年度のゲスト
これからの経済を担う京都の若手職人さんたちをはじめ、
経済界の方々や商品を生み出すことや届けることに携わっていらっしゃる方々など。
各回の内容の記事を、こちらよりご覧いただけます。
「Artisan’s Talk」番組詳細
放送局:「α-STATION」 FM京都
放送日時:毎週金曜日 朝6:00-6:25
リクエストメッセージはこちらから。
放送エリア:京都府・大阪府・兵庫県・滋賀県・奈良県の5府県
(FMラジオチューナーを通じてお聴きいただけます)
※なお、パソコンやスマートフォンでラジオが聴ける「radiko.jp」では、
放送から1週間に限り、聴き直すこともできます。
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