京都の若手職人さんや伝統を次世代につなぐ取り組みをされている方々などをゲストとしてお招きしている、「α-STATION」FM京都のラジオ番組『Artisan’s Talk』
和える代表の矢島がDJを務めさせていただき、毎週金曜朝6時から放送しております。

11月23日のゲストは、書家の上田普(うえたひろし)さんをお招きしました。
兵庫県に生まれ、お母様が営まれていた書道塾に自然と通い、
5歳ごろからそこを遊び場のようにして成長された上田さん。
大学にて「書道コース」を学ばれた後、海外留学を経て「書家」になられたお話や、
どのように作品を生み出していくのかという上田さんの哲学について、伺いました^^

「書道家」ではなく、「書家」として

「文字を作るってクリエィティブやと思う!」とおっしゃる上田さんは、
文字を書くときには文字の成り立ちを紐解き、本質を捉えた後、
昔のままただ書くのではなく、「きっと今だったらこうだろうな」と思えるものを反映し、現代の感性を乗せることを大切にされています。
先人の技術、先人の道を学んだ上で、そこからずれていくという感覚で、
「書道家」という言葉ではなく、道を外した「書家」を名乗っておられるとのこと。

大学の文学部で書を学ぶ中で、ご自身がやられている書は
国境を越えられる音楽や絵画と同じではないという壁に突き当たり、悔しかったとおっしゃる上田さん。
書で何を表現すべきかモヤモヤとされる中、大学卒業後はまず、
中国へ書の本質を見に行こうと旅にでられました。
そこで出逢われた方とのご縁もあり、カナダへ居を移動した上田さんは、
人生初のギャラリーに足を踏み入れたことで、「自分の作品に囲まれた真ん中に座ったら気持ちいいだろうな。もう一度作りたい。」という想いを思い出されたそう。

その後、アメリカの有名なギャラリーのディーラーの目に止まり、
作ったものがお金になる経験を経ながらも、日本への帰国を決意。
「日本らしいことを外国でやっているだけなのでは。自分が偽物になってしまう」という危機感から、厳しい世界でもまれようと京都へ来られたことで今につながっているというお話をしてくださいました。

常にご自身と向き合い、俯瞰的にご自身を捉えられている姿や、
人との出逢いから世界を広げていらっしゃる様子がとても印象的でした^^

人生の気づきを表現する


そんな上田さんの最近の作品の一つがこちら。
1000枚ほどの半紙を重ね、10cmほどの厚さになったところへ、
大きく「点」だけを書いたようなもの。

「深さを表現したかった」
とおっしゃり、重ねた半紙に沈み込むような黒が濃い色からどんどん淡く、
遠のいていく様子を表現されています。
この作品の始まりは、紙が無い頃に先人たちが亀の甲羅などに刻んでいた「甲骨文字」に思いを馳せたこと。
刻むように文字を書いていた動きは、筆にも残っているということに気づかれ、
文字を持たない人間がはじめて筆で紙に何かを書いたとしたら、
このような「点」になるのではないかという想いで創られた作品なのです。

確かに、「一」という漢数字を筆で書く際には、私達も最初筆を沈めて、
少し浮かせるような感覚で横にひき、最後沈めて止めるという上下運動をしています。
「ペンは平行運動、筆は上下運動」という上田さんのお話を聞いて、初めて「文字」「筆」「動き」というものに目を向けることができ、脳が活性化されたように感じました^^

書というテーマでお洋服を作られたり、
文字を身につけるような感覚でアクセサリーを作られたり、様々な壁を越えていらっしゃる上田さん。
矢島も「文字で遊んでいるのだと思った。遊んだ形跡を魅せることで、”文字って楽しい”ということを伝えている。字と共に遊ぶ感覚・感性を豊かに感じた。」と矢島も話しておりましたが、
上田さんの作品作りには、わくわくする気持ちがいつも寄り添っているように感じました。わくわくしながら生きる、そんな格好いい姿にとても刺激を受けました!

明日のゲスト

明日11月30日朝6:00からの放送では、引き続き、書家の上田さんをお招きします。
現在上田さんが参加されている京都市とパリ市の共同事業
京都×パリ「京ものアート市場開拓支援事業」について、
どのように職人さんやアーティストが交流し、新しい作品を創っていらっしゃるのか、上田さんの「国境を越えるアート」の世界にさらに迫ります!
どうぞお楽しみに^^

aeru meguroホストシスター松下

これまでの放送はこちら

◯2018年度のゲスト
●「楽芸工房」西陣織 製糸部門 伝統工芸士の村田紘平さん(前編後編
●桶屋「近藤」 近藤太一さん(前編後編
●京・地張り提灯専門「小嶋商店」の小嶋俊さん(前編後編
※小嶋さんとは、以前、aeru gojoにて、門川大作京都市長と矢島の3名で、「京都から伝統産業を活性化し、日本全国を元気に」というテーマで鼎談させていただきました。
◯鼎談の様子はこちら
●京友禅ブランド「SOO(ソマル)」代表 日根野孝司さんら4名(前編後編
●京焼・清水焼 絵付け師の田辺桂さん(前編後編
●鳴り物仏具「南條工房」の南條和哉さん(前編後編
●「齋田石材店」代表の5代目、齋田隆朗さん(前編後編
●「弘誠堂」表具師の 田中健太郎さん(前編後編
●陶芸作家の小川文子さん(前編後編
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<5週連続 夏休み特別編!京都府与謝野町の工房から>

●「羽賀織物」三代目の羽賀信彦さん(前編後編
●「高美機業場」三代目の高岡徹さん(前編後編
●与謝野町長の山添藤真さん(特別編
※山添さんとは、以前、経済産業省のMETI Journal「政策特集8月 地域の未来」の特集にて、対談をさせていただきました。
◯METI Journalの記事はこちら
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●金彩扇子作家の米原康人さん(前編後編
●古橋染工の古橋敏史さん(前編後編
●横山竹材店 横山裕樹さん(前編後編
●陶芸作家 岡山高大さん(前編後編
●特別編 三井ゴールデン匠賞 第2回 グランプリ
「輪島キリモト」代表 桐本泰一さん(前編後編

◯2017年度のゲスト
これからの経済を担う京都の若手職人さんたちをはじめ、
経済界の方々や商品を生み出すことや届けることに携わっていらっしゃる方々など。
各回の内容の記事を、こちらよりご覧いただけます。

「Artisan’s Talk」番組詳細

放送局:「α-STATION」 FM京都
放送日時:毎週金曜日 朝6:00-6:25
リクエストメッセージはこちらから。
放送エリア:京都府・大阪府・兵庫県・滋賀県・奈良県の5府県
(FMラジオチューナーを通じてお聴きいただけます)
※なお、パソコンやスマートフォンでラジオが聴ける「radiko.jp」では、
放送から1週間に限り、聴き直すこともできます。
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