2018.11.15
11月08日 FM京都ラジオ「Artisan’s Talk」〜特別編!「輪島キリモト」代表 桐本泰一さん〜
和える代表の矢島がDJを務めさせていただき、毎週金曜朝6時から放送している「α-STATION」FM京都のラジオ番組『Artisan’s Talk』。
京都の若手職人さんや伝統を次世代につなぐ取り組みをされている方々などをゲストとしてお招きしておりますが、11月8日は特別編!
スペシャルゲストとして、石川県から「輪島キリモト」代表の桐本泰一(たいいち)さんをお招きしました^^
漆器の一大産地、輪島にて200年以上前から「漆と木に関わる仕事」をしてこられた「輪島キリモト」。
7代目でいらっしゃる泰一さんの、「(漆と木のことが)やりたくてやりたくて仕方がない。体を巡っている血に入り込んでいるのだと思う」という熱い想いのもと、
塗りと木地作りの両方に取り組み、次世代に漆の魅力を伝えようとしていらっしゃいます。
そんな活動を評価され、「三井ゴールデン匠賞」”第2回グランプリ”を受賞された泰一さん。
今回の放送では、こちらの賞の主催者の一人でいらっしゃる
「三井住友ファイナンス&リース」五十嵐 圭一さんもお招きし、日本の伝統をつないでいくことを考えました^^
中央:「輪島キリモト」代表の桐本泰一さん
右:「三井住友ファイナンス&リース」五十嵐 圭一さん
今の時代に求められるものを
1代目〜3代目までは、漆の塗りを行うお仕事、
4代目〜6代目までは、塗る前に木をくり出し、形を作る木地作りをするお仕事に従事されていたという、「輪島キリモト」。
7代目でいらっしゃる泰一さんは、木地作りをしながら漆塗りも行うことを始められ、
今の時代に合う漆器作りや、漆塗りの内装などを手がけていらっしゃいます。
漆器は、「下塗り・中塗り・上塗り」と漆を塗り重ねていくのですが、
輪島の漆器の特長の一つは、輪島で採れる純度の高い珪藻土(けいそうど)とよばれる土を漆に混ぜ、下塗りを行うこと。
珪藻土は粒子が細かく硬いので、下地をしっかり硬めることで、より強度を高めることができるのだとか。
泰一さんがおっしゃるには「100年前のものでもお直しができるというものづくりを、自然にやっていた」とのことで、
まさに長い目で暮らしを捉えた先人の智慧だと思いました。
さらに興味深いのは、泰一さんの新たな挑戦。
一般的には行わない上塗り(表面の部分の仕上げ)にも、珪藻土を混ぜた漆を塗り、
金属のスプーンでも、アイスクリームやカレーライスを食べていただけるような作品などを生み出しておられます。
「使いやすい漆器が作れるのではないか。先人たちと同じものをやっていても勝負ができない。新しいものにチャレンジするしかない。」というお言葉がとても印象的でした。
産地全体、そして日本の伝統を考える
そんなイノベーションを起こした泰一さん。
「今の暮らしの中で、今を生きる人々に、ほっとするような、良くするようなことをしていきたい」という想いを何度も繰り返しておられました。
その想いが、今回の「三井ゴールデン匠賞」の”第2回 グランプリ”受賞の際に、評価されたことの一つ。
「三井ゴールデン匠賞」は、日本の伝統工芸の担い手に、
注目と称賛が当たる機会を創ることを目的に2015年に始められたものですが、
ゲストの一人としてお越しくださった五十嵐さんは、評価の基準について下記のようにおっしゃっていました。
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・産地全体の発展につながっているか
・時代が変わっていくなかで、持続性があるか
次世代につないでいくことができるか
・技術、技能があるか
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「この賞だからこそ表彰してもらえたのだと思う。
自分が受賞したことで、より多くの人たちの可能性が広がるのでは」という、
泰一さんのお話をお聞きしていると、まさにご自身や家業のことだけでなく、
産地全体、ひいては日本全体の伝統工芸のことを考えていらっしゃることがとても伝わってきました。
「三井ゴールデン匠賞」は、
実際に作っている職人さんだけでなく、デザイナーやプロデューサー、
販売に携わる方、経営者など様々な方が賞の対象となっており、
「作品だけでなく、人を表彰したい」という新たな評価軸を持った賞。
三井グループ24社で結成された「三井広報委員会」が2015年に始められ、
第1回目より矢島も審査員を務めさせていただいております。
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◯第一回目のグランプリ受賞者:九谷焼の福島武山さんにも、
昨年10月、ラジオ番組にご出演いただきました^^
番組の様子はこちら
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主催者側の五十嵐さんも「伝統工芸を応援したい」
「未来に向けて挑戦されている方、幅広く携わっている方に応募いただきたい」という想いをお伝えくださいましたが、
この賞がより多くの人に知られることで、たくさんの出逢いが生まれ、
勇気をもらえる方が増えていくのだろうなと、私もとてもわくわくいたしました^^
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「三井ゴールデン匠賞」第3回の応募も始まっております!
募集要項はこちらをご覧くださいませ。
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明日のゲスト
明日11月16日朝6:00からの放送でも、引き続き、
桐本泰一さんと「三井住友ファイナンス&リース」五十嵐 圭一さんをお招きします。
「輪島キリモト」の次期8代目、息子さんの桐本滉平(こうへい)さんのお話も登場する予定です。
どうぞお楽しみに^^
aeru meguroホストシスター松下
これまでの放送はこちら
◯2018年度のゲスト
●「楽芸工房」西陣織 製糸部門 伝統工芸士の村田紘平さん(前編・後編)
●桶屋「近藤」 近藤太一さん(前編・後編)
●京・地張り提灯専門「小嶋商店」の小嶋俊さん(前編・後編)
※小嶋さんとは、以前、aeru gojoにて、門川大作京都市長と矢島の3名で、「京都から伝統産業を活性化し、日本全国を元気に」というテーマで鼎談させていただきました。
◯鼎談の様子はこちら
●京友禅ブランド「SOO(ソマル)」代表 日根野孝司さんら4名(前編・後編)
●京焼・清水焼 絵付け師の田辺桂さん(前編・後編)
●鳴り物仏具「南條工房」の南條和哉さん(前編・後編)
●「齋田石材店」代表の5代目、齋田隆朗さん(前編・後編)
●「弘誠堂」表具師の 田中健太郎さん(前編・後編)
●陶芸作家の小川文子さん(前編・後編)
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<5週連続 夏休み特別編!京都府与謝野町の工房から>
●「羽賀織物」三代目の羽賀信彦さん(前編・後編)
●「高美機業場」三代目の高岡徹さん(前編・後編)
●与謝野町長の山添藤真さん(特別編)
※山添さんとは、以前、経済産業省のMETI Journal「政策特集8月 地域の未来」の特集にて、対談をさせていただきました。
◯METI Journalの記事はこちら
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●金彩扇子作家の米原康人さん(前編・後編)
●古橋染工の古橋敏史さん(前編・後編)
●横山竹材店 横山裕樹さん(前編・後編)
●陶芸作家 岡山高大さん(前編・後編)
◯2017年度のゲスト
これからの経済を担う京都の若手職人さんたちをはじめ、
経済界の方々や商品を生み出すことや届けることに携わっていらっしゃる方々など。
各回の内容の記事を、こちらよりご覧いただけます。
「Artisan’s Talk」番組詳細
放送局:「α-STATION」 FM京都
放送日時:毎週金曜日 朝6:00-6:25
リクエストメッセージはこちらから。
放送エリア:京都府・大阪府・兵庫県・滋賀県・奈良県の5府県
(FMラジオチューナーを通じてお聴きいただけます)
※なお、パソコンやスマートフォンでラジオが聴ける「radiko.jp」では、
放送から1週間に限り、聴き直すこともできます。
「radiko.jpプレミアム」にご加入いただくと、全国どこでもお聴きいただけます。
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