2018.03.01
2月23日放送、FM京都ラジオ「Artisan’s Talk」〜「有限会社 箔沌房」澤野井生さん〜
京都の若手職人さんや、伝統を次世代につなぐ取り組みをされている方々などの声を
毎週お届けしている、「α-STATION」FM京都のラジオ番組『Artisan’s Talk』。
和える代表の矢島がDJを務めさせていただいております。
2月23日は、先週に引き続き、「有限会社 箔沌房」(はくとんぼう)の
澤野井 生(さわのいしょう)さんをお招きしました。
箔を押す〜体感を伴う、感性に響く言葉〜
お祖父様の代から、仏具や茶道具などに金箔や銀箔を施し、
暮らしに彩りや華やかさを添えるお仕事をしていらっしゃった「有限会社 箔沌房」。
箔を貼ることを、箔を押すとおっしゃいます。
みなさまは、”箔を押す”という言葉を耳にしたことはありますでしょうか。
貼るときに、軽く箔をなでるようにしてつけたり、
余分の部分を払うときにも、真綿でなでるようにしてつなぎ目を分かりにくくしたりと、
「貼るというよりは、感覚でいうと押す方がしっくりくる」とのこと。
お人形やお猪口など、溝のある立体物に箔を押しこんでいるイメージもあるそう。
「感性に合う、心に響く言葉だ」と、澤野井さん。
先人から継がれてきた言葉は、体感を伴っており、
感覚が言葉に現れた気持ちの良いものなのかもしれません。
当たり前に使っていらっしゃる言葉が、お仕事の本質を現しているのは面白いことですね^^
矢島も言葉や名前の大事さについて触れ、
「感覚に近い言葉を探し、仕事の本質が言葉から感じられるようになる瞬間がある」と話しておりましたが、和えるでは、会社を擬人化して「和えるくん」と呼んでいます。
会社は法人格。人格を持つ、一人の人間を育てるような感覚で仕事をしております。
名前や、普段使っている言葉に目を向けることで、
自分の生き方や働き方に変化が生まれるのかもしれませんね。
○和えるの由来や、創業にかける想いについては、
書籍「和える」をお手にとっていただけますと嬉しいです^^
今だからこそ、できる挑戦
個人のお客様からの御誂えも受け入れていらっしゃる澤野井さん。
想像を超えるような依頼が来ると嬉しいとおっしゃり、
「箔を押したあと、どんな風になるのだろう?」
「どうやって使ってくださるのだろう」とわくわくしながらお仕事されているそうです。
こちらは、金魚のお人形やブックカバーに箔を押したもの。
どんなものにでも押せると考えると、想像力が広がりますね。
新しいものとの出逢いが新たなイノベーションを生み出す。
幼少期から、箔押しというお仕事のそばで育った澤野井さんだからこそ、
「今は変化のとき」だとおっしゃいます。
お祖父さまやお父様がお仕事をされていて好景気だった時代では、
伝統的なものに、次から次へと押すお仕事が多く、
新しいものに挑戦し、様々な箔押しをする時間的な余裕がない時代だったそうです。
澤野井さんは、バブルがはじける数年前に生まれた、30歳。
箔のお仕事がやや緩やかな時代になり、新しいことにも挑戦できる時間があるとおっしゃいます。
「決して失われて良いものではない技。
伝統的なお仕事もやりつつも、知ってもらえるような新しいこともやっていく。
昔ながらの技術で新しいものを作っていけることは強みである」という言葉がとても印象的でした。
もしかすると、箔押しにおいて、
現在は一番イノベーションが起こりやすい時代なのかもしれません。
社会的背景や経済状況も違う中で、波をとらえ、今挑戦すべきだという、
過去・現在・未来がつながっている感覚。
あの時代が良かった・悪かったではなく、挑戦を続けていらっしゃる澤野井さんおお話を伺い、今後、どのような箔押しが生まれるのか、とても楽しみになりました^^
澤野井さんの作品に出逢う
そんな澤野井さんや作品には、3月17・18日に京都の「みやこめっせ」にて開催される「京ものフェスティバル2018」や、旧三井家下賀茂別邸にて開催される「京都伝統産業青年会」の展示会にて出逢うことができます。
「箔押しは限られた業界の話ではなく、何かを華やかにしたいという想いに寄り添える技術。友達に会うような感覚で技術の可能性について考えてくださったら嬉しい」とおっしゃる澤野井さん。
暮らしの中でどのようなものに箔を押そうか?などと考えながら、作品を眺めるのもきっと楽しいのではないでしょうか^^
明日のゲスト
明日3月2日6:00からの放送では、陶芸家の加藤美樹さんをお招きいたします。
加藤さんが作品にかける想いや、釉薬などを筒に入れて絞り出すことで、立体的な装飾を生み出す陶芸の技「イッチン」についてもお話を伺います。どうぞお楽しみに!
aeru gojoホストシスター中川
これまでの放送内容
●つづれ織り職人 森紗恵子さん(前編・後編)
●京すだれ本舗「久保田美簾堂」久保田真司さん(前編・後編)
●京焼「蘇嶐窯」涌波まどかさん(前編・後編)
●京焼「蘇嶐窯」未来の5代目 涌波優太くん(特別編)
●京都信用金庫の専務理事 榊田隆之さん(経済界編)
●漆芸工房「表望堂」島本 恵未さん(前編・後編)
●「京都 鳴滝 北澤造園」北澤真さん(前編・後編)
●京扇子「大西常商店」大西里枝さん(前編・後編)
●京焼「丈夫窯」加藤丈尋さんと新人職人の富澤さん・尾形さん(”お師匠さん”と”お弟子さん” 前編・後編)
●「株式会社 ウエダ本社」の代表取締役社長 岡村充泰さん(経済界編)
●「嵯峩螺鈿 野村」のむらまりさん、野村拓也さん(前編・後編)
●特別編「ブータンの伝統継承から学ぶ」
●「山本合金製作所」鏡師 山本晃久さん(前編・後編)
●竹工房「喜節」竹工芸職人の細川秀章さん(前編・後編)
●京友禅「丸染工株式会社」型友禅職人の横田武裕さん(前編・後編)
●京焼の絵付師 林民和さん(前編・後編)
●九谷焼の福島武山さんと三井広報委員会の吉田昌司さん(特別編)
●京座布団「株式会社 高岡」の代表取締役 高岡幸一郎さんと雜賀香江さん(前編・後編)
●西陣織「りんどう屋」代表の佐々木英人さんとお弟子さんの冨山華菜さん(前編・後編)
●「河政印房」京印章職人の河合良彦さん・河合祥子さん(前編・後編)
●「中村ローソク」の田川尚史さん(前編・後編)
●「京菓子司 末富」の山口富藏さん(特別編)
●金物「河長」の吉田高朗さん(前編・後編)
●「erakko/ 柴田漆工房」の柴田明さん(前編・後編)
●七宝焼ジュエリー「PEKI!RARIGON」の佐々木真菜さん(前編・後編)
●「有限会社 箔沌房」澤野井生さん(前編)
「Artisan’s Talk」番組詳細
放送局:「α-STATION」 FM京都
放送日時:毎週金曜日 朝6:00-6:25
リクエスト&メッセージはこちらから。
放送エリア:京都府・大阪府・兵庫県・滋賀県・奈良県の5府県
(FMラジオチューナーを通じてお聴きいただけます)
※なお、パソコンやスマートフォンでラジオが聴ける「radiko.jp」では、
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